溶けろよ、心





「きたきた!山下ー!」


山下くんが速度を落とさないままこっちに向かってきた。

皆が盛り上がって手を振る。



山下くんはそんなクラスメートたちに笑顔で手を振り返しながら、

「松嶋ぁ!」と雄叫びを上げた。



わあ、ナツキのこと呼んだ。


ナツキの方を見ると目を丸くして、顔を赤くしている。


なんかきゅんきゅんするなあと、口元を両手で抑えていると、隣のるいが、


「やっぱあの二人いい感じだね」


とニヤニヤ笑った。


「そうだね、素敵」


私はるいに向かってそう小さく呟いた。



町田くんにバトンが渡るまであと2人。