溶けろよ、心


町田くんの指先が、私の唇の端に触れる。

「ほら、クリームついてたよ」

目を開けた私に、町田くんはクリームのついた人差し指を見せた。

と、思ったら!あろうことか、町田くんはそれをぺろりと舐めた。


「な、何やってるの!?」

私はびっくりして町田くんが触れた唇を手で抑える。

「そこにクリームがあったから?」

「ば、バカなの!?」

そんな、そんなの漫画の世界でしかしないことでしょ?

「ここのパンケーキおいしいね!」

町田くんは何事もなかったかのように微笑んだ。



だからきっと、町田くんの頬が赤く見えたのは気のせいだ。