溶けろよ、心



数十分待ってやっと入れたカフェで、私たちはパンケーキを注文した。


さすがは東京。
地元のお店よりふわふわしたそれを口に運びつつ、町田くんが話を切り出す。


「Answerのイベント終わるまでまだ時間あるけど、行きたいところとかある?」


「えー、どこかあるかな〜」

東京で、行きたいところ……。
私は考えを巡らせる。

「あっ、橘、ストップ」

町田くんが突然そんなことを言うので、私の体はピシッと硬直した。

な、何だろう……?


そう思った瞬間、町田くんの手が私の口元に伸びる。

私は何が起こるのかわからなくて、目をぎゅっと閉じた。