「ちょっと出かけてくる」 「うん。気をつけてね。暑いから、ちゃんと水飲むんだよ」 お母さんとお父さんは、2人で買い物に出かけている。 リビングにいた菜穂に声をかけると、病み上がりの姉を気遣ってくれた。 「ありがと、行ってくるね」 スニーカーをつっかけて外に出る。 川沿いの道を歩きながら、私はケータイの発信ボタンを押した。 発信音、1回、2回、3回…… 「……もしもし?」