溶けろよ、心



「悪い、足ひねったから保健室行ってくるわ」

グラウンドでのリレーの練習中、嘘をついた。

渡り廊下をフラフラと歩く橘を、遠目に見つけたからだ。



走って橘を追いかけたけれど、見失った。
とりあえず校舎へ入って、階段を駆け上がる。


人がいない校舎に足跡が響く。



最後に話したのは、海に行った日か。

メールも返してもらえないなんて、おかしいじゃないか。

何があったんだよ。



わかっている。

あの子の心を乱すのは、いつだって志賀なんだ。