「もう早く縁切って、もっといい人と付き合いたいー!」

「俺もだっ!」

酔いも手伝って大声で言い合いながら、駅前の繁華街を抜ける内、

「あれ? 浩平だろう?」

と、声をかけられた。

「うん? おっ、雅和(まさかず)じゃん。久しぶりだな」

まさかず?と顔を見上げる。

「え、まさか浩平の知り合い? このイケメンが」

思わず口に出すと、

「イケメンが俺の知り合いじゃ悪いか? こいつは、浅野 雅和。男子高時代の同級生だよ」

そう紹介をされた。

「あの、よろしくお願いしますっ!」

そのかっこよさに、酔いが一気に吹っ飛ぶ勢いで頭を下げる。

「ああ、よろしく。えっと、浩平の彼女かな?」

「違います! 私は……」

自己紹介をしようとした横から、

「こいつは、森川 夏季。俺の幼なじみで腐れ縁の女友達。あくまで友達で、彼女なわけがないんで」

そう口を挟まれた。