「ねぇ、大切な人が死んだら悲しむものかしら?」

「悲しむと思いますが」

「もう一度、会いたいと思う?」

「思うでしょう」

「そう」

 ワンピースを翻せば、不思議そうな、悲しそうな、なんとも言えない表情のフィンと視線が絡む。

「どうかした?」

「いえ……」

 問いに答えないのなら、追及するだけ無駄だ。私は自室から出ると、家庭教師のもとへと向かった。