「アルファン家、ベアール家、シセ家、ディアッラ家……すみません。全ては流石に」

「それだけ分かっていれば十分だ。じゃあ、その家の特色を言ってみろ」

「アルファン家はジュエリー。ベアール家は輸入品。シセ家は慈善活動。ディアッラ家は……」

「金融機関。だがなディアッラ家は捨て駒だ」

「捨て駒?」

「紙幣は、いずれ価値が無くなるからな。国の崩壊後、何に価値を見出すか。それが重要だ。
 けれど武器を仕入れるにも〝今は〟金が要る。ジュエリーに目を付けたのは悪くない」

「申し訳ありません。仰ってる意味がよく……」

「そうだろうな。アルファン家を選んだのはジュエリー事業より、宝石関連の方が強いからだろう。貴石は、それだけで戦争に発展させられるほどの資源だ。時価ではあるものの廃れはしない。
 勿論、内部崩壊が前提での話だけどね。他国の支援を得る代わりに、此方は〝宝石〟を提供する。紙幣の価値が回復するまでの案としては悪くない。
 ベアール家は、その過程を取り纏める云わばパイプ。伝手が無ければどうしようもないからな」

「それでいくとシセ家は何を?」

「フェイクだよ」

 フェイク? と胸中で反芻する。答えの分からない僕に王子は勝ち誇ったように笑った。