「あまり面白い余興には思えなかったのですが」

「相変わらず思ったことを包み隠さないんだな」

 ヴィンス様は天蓋付のベッドに寝そべり、僕の言葉を鼻で笑う。それでも、そう思わずにはいられなかった。

 今日、エレアノーラ様が宣ったのは理想論でも無ければ、綺麗事でもない。

 阿呆なことに手を貸すのは王子らしくないと思った。

 それくらい彼女が奏でた言葉は無謀で根拠のない利己的な言葉だ。優秀な頭脳を用いている彼ならば、興味を唆られたとしても手を貸すなんてあり得ないと思った。

「ユアンは思ったより阿呆なんだな」

「申し訳ありません」

「いや、いいんだ。アイツが言ったことは一見そうとしか思えないからな」

「と、申しますと?」

「エレアノーラと噂になった貴公子を覚えているか?」