「王子を此方側に落として、貴族側との繋がりも持ちたい。そう言ったのはベルナールだろ?」

「確かに言ったね。けれど令嬢と繋がりを持ちたいと言った覚えはないよ」

「あの人は頭がいい。下手な貴族と癒着するより、女を使ってあらゆるところから金を落として貰える。ばれにくいし、額も得られる。不都合は無い筈だ。
 女の身ともあれば密会をしていても名を落とすだけで済む。レイニー様は、わざと名を落とし、あちこちに伝手を残してから此処に来た。
 協力的じゃないユアンより、よっぽど役に立つと思うけど」

「僕は国を壊すことに反対なだけで、王子が選んだ方に従うよ。それが役目だからね」

「だから王子が協力しないなら手を貸さない。酒場にも訪れない。なのにレジスタンスのメンバーには身を置く。おかしくないか?」

「もー二人共、喧嘩はダメだよー。ユアンとヴィンスのお陰で助かってたのは事実なんだから。宝物庫の場所、とかね」

「商売人はえげつないね」

「あっさり酒場の店長じゃないって見破られてたくせに」

 目を眇めるベルナールにユアンは肩を竦める。追い討ちを掛けるように続ければ揺らがないベルナールがいた。