「ユアン」

「フィンじゃないか! 今日はデートかな?」

「俺はユアンに声を掛けたんですが、何故ヴィンセント様が返事をなさるんですか」

「ユアンとの会話は俺を通してからにしてもらおうか」

「普通、逆だと思いますが」

「いいじゃないか。楽しいのが一番だ。なぁ、ユアン」

「そうですね」

「ユアンは相変わらず王子に甘いな」

 薄暗い廊下の先には煌びやかな空間が広がっている。丸テーブルが三つに簡易的なバーカウンター。ココ一つでも十分〝店〟としてやっていけそうだが、ベルナールがそうすることは無いだろう。