私は、この世で自分が一番可哀想な姫だと思っていた。

 質素な食事。淡白なワンピース。叶えられることのない願い。いいところを上げるならば民が私に優しいことぐらいだ。

 それでも、それだけで嫌えないほどには祖国を愛していた。なのに告げられたのは隣国の王子との閨閥結婚。

 私は、その時やはり自分が一番可哀想だと思った。



 しかし、レジフォルニアは豊かな国で、末皇子の花嫁にも十分なほどの我儘が許された。

 美味しいお茶。美味しい菓子。絢爛なドレス。有り余るほどの使用人。

 どれも欲しかったものだ。けれども手に入れてしまえば大したことはなく、私はすぐに民の優しさに飢えた。