「残念ながら違うなぁ。ベルナールの案じゃないの?」

「私はこんなこと聞いていないわ」

「それはレイニーが信用に値する相手じゃないと判断してのことじゃなくて?」

「あまり馬鹿にしないでくださる? さっき仲間と認めて貰ったのよ」

「お前は本当に馬鹿だねぇ。
 ——さて、じゃあ、ご本人に聞こうか? 君はどの側の誰なのか。答えてくれるよね? フィン」

「勿論です。旦那様。俺は王側のスパイ。レジスタンスを潰す任を負っていました」

「つまりフィンは此方側だと。じゃあレイニーは何に使うつもりなんだい?」

「王族の解放を。作戦通りなら、その二人が他の王族を縛って隔離している筈です」

「それは有り難い。今、彼らと、その交渉をしていたんだよ。でも中々進まなくてねぇ。王位を譲らず王族を解放してって頼んでるだけのに」

「ふざけるな! 王位を明け渡せば解放すると言った筈だ! さもなくばココで王の首を切り落とすとも」

 ヴィンスの怒号にお父様が頬を吊り上げる。彼が何を考えているのか私には見当も付かなかった。