「嫌だ、と言ったら?」

「気絶させてお連れするか、ここのことを王族軍に伝えるか、この場にいる人間を人質にお嬢様を脅します」

「分かったわ。だからこの場の人間には手を出さないでちょうだい」

「さすがです」

 研いだナイフのように冷たい声だ。いつもならば優しい笑みを見せるマリー。しかし、今日の彼女は一遍たりとも笑うことはなかった。