「どういうことだ。俺は話なんて……」

「想いを告げられずにいれば後悔するのはヴィンス様ですよ。最初で最後の進言です。エレアノーラ様に想いをお伝えください」

「お前も好きなんだろう!? それも前世から!?」

「私の恋は彼女が亡くなった時に終わりました。そして想い人はリーリエ様。エレアノーラ様ではございません」

「ユアン……」

「御武運を」

 徐々に緩くなる拘束を振り解き、僕は赤いカーテンを潜る。一度奥の部屋まで抜けると、気配を消して再び部屋へと舞い戻った。

「ユアン、話があるって!?」

「静かに。それは方便だよ」

「のぞき見とか趣味悪いぞ」

「違うよ。現実を見せにきたんだ。フィンにね」

 吃驚を零す彼を見据え、次いで二人に視線を戻す。カーテンの隙間から様子を伺っていれば、フィンの苦し気な声が聞こえた。