「エレアノーラ様、ヴィンス様が話をしたいと仰ってました。よろしいでしょうか?」

 もうこの話は終わらせなければ。断腸の想いで本題に入ろうと言葉を象れば、ぎこちなく頷く彼女がいた。

「え、ええ。構わないわ」

「その間にフィン、話がある」

「分かった」

 エレアノーラ様に背を向け、奥の部屋に行こうとフィンに合図を送る。大人しく従う彼と共に歩んでいれば、すれ違い様に腕を掴まれた。相手は見ずとも分かりきっている。