「独り言なら聞いてあげるわ」

「……俺の両親は貴族の不祥事の尻拭いに殺された。
 国から金を横領した貴族が自らの保身の為に、俺の父親に罪を擦り付けたんだよ。そしてギロチンで首を落とされ、晒し首にされた。
 母はそれを見て錯乱し、馬車に撥ねられて死んだ。皮肉にも、それは王族が乗っていた馬車で……千切れた腕を蹴って彼はこう言ったんだ。『こんなものの為に馬車を止めたのか』と。
 父の晒し首を見ていた男だからね。バラバラの身体なんて、なんとも無かったんだよ。俺は、そのまま街を彷徨い歩いて倒れたところをベルに拾われた」

「ベルナールが、ここまで育ててくれたのかしら?」

「いや、俺が快復すると同時に追い出されたよ。行くところもなかった俺は酒場に通い詰めて働かせてほしいと頼み込んだんだ。
 朦朧とした意識の中、ベルがレジスタンスの話をしているのを聞いたからね。絶対仲間になりたくて」