「はじめからおかしいとは思っていたの。その身長で声変わりをしていないんですもの。でもロビンが女の子なら納得がいくわ。このことを知っているのはベルナールだけね?」

「うん。酒場で働くのは危ないから性別を偽るように、って」

「一杯食わされたわ」

 不安げに肩を揺らす彼女に微笑を向ける。普段から色のない顏は蒼白で、怯えているような眼差しは羊のようだった。

「誰にも言わないわよ。女の子同士仲良くしましょう? 貴女が誰でもレジスタンスのメンバーには変わりない。むしろ唯一の同性ね。面白いじゃない」

 ベルナールが彼女を私のもとへ送り込んだのは、先の理由もあるのだろう。

 けれど、一番の理由は彼女を危険な目に合わせない為。親心といったところか。

 決行日を決めてからの時間は危険が増す。もしもレジスタンスのメンバーにスパイが混じっていれば摘発の危険があるし、全員絞首台送りなのは否めないだろう。

 けれど場にさえ存在しなければ、いくらでも言い逃れが出来る。恐らくベルナールは彼女が本当に大切なのだ。