「話はそうじゃないでしょ?」

「ベルナールが決行の日は一月後だと」

「そう。フィン」

「なんだ?」

「君はどちら側に付くの?」

「え……?」

「悪の貴族ヴェーン侯爵? それとも王家? まさかエレアノーラ様に付くなんてことはないでしょ?」

「お前……気付いて……」

「気付かれてないとでも思ってたの? 君は王家側のスパイ。ヴェーン家に潜り込んだのは、ベルナールの指示でもあったけれど、本当はもっと上〝王〟の指示」

 僕は人差し指で天井を指し淡々と告げる。此方を睨みつける彼に喫驚の色は、もうなかった。