「一週間ほど前ね。彼にどうして宝石に目を付けたのか訊かれたのよ。それで、この話をしたの」

「手紙が届いたのは二日前です」

「そうなの? あまりにもタイミングが良すぎると思わないかしら?」

 怪しい笑みに生唾を呑み込む。どこか妖艶な唇に見惚れながら俺は呟いた。

「ヴィンセント様がシュプギー……」

「お待ちなさいフィン。まだ決めてかかるには早いわよ。何故ならお前もシュプギーの候補なのだから」

「なにを仰ってるんですか!?」

 胡乱な瞳に俺が映っている。鏡の如く全てを映し出す青い瞳に、俺はたじろいだ。