「フィンが疑ってるようだから新しい手紙の方も話すしかなさそうね。
 フィンは冒頭のこの話、覚えているかしら?」

「いいえ……」

 残念なことにレイニー様が少女に花をあげたなんて話、記憶には無かった。

 傲慢なお姫様ということは、まだ彼女が我儘放題だった幼い頃の話だろうか。

「でしょうね。これはまだ、お前が護衛に付く前の話だもの。この話を知っているのはヴィンスだけ」

「「え」」

 吃驚が重なる。思わずロビンと顔を見合わせてから彼女の表情を確認すると、鋭い目で手紙を睨み付けていた。