「能ある鷹は爪を隠す。アンタは何事にも本気になったことはないよね。俺は知ってますよ。レイニー様が本当は才のある人だって」

「相変わらず言葉遣いがなってないわね。無礼な発言をしたかと思えば、今度は誉めそやしてどうする気かしら?」

「俺は今後のことを思って進言しているだけです。いずれ侯爵家を継がれれば……」

「こんな国、あと二十年もすれば滅びるのに」

「え?」

 口から零れたのは、私の言葉では無かった。

 自身の発言に目を瞠り慌てて口を押える。焦燥に目を泳がせていれば、吃驚を露わにした彼が此方をジッと見つめてきた。