「どうなさいました?」

 安堵を誘う薫りが鼻孔を擽る。背に温もりを感じたかと思えば、淡い力で抱き寄せられた。

 彼の胸にスッポリと収まり目を瞠る。仰いだ先には涼しい顔のフィンがいた。

「フィン」

「遅くなりました」

「貴方、誰ですの?」

「御無礼を。私、レイニー様の護衛をしております。フィンレイと申します」

「そうなの? 私、エレアノーラ様とお茶がしたいの! いいかしら?」

 許したら許さないわよ。そんな想いを込めて彼を睨み付ける。

 そうしていると柔らかな笑みを携えたフィンが、カタリーナ様の御前で跪いた。