「私を揶揄ってるの? それとも侮辱しているのかしら? 〝離して〟と言った筈よ。触らないでちょうだい」

「違いますし、嫌ですわ! ねぇ、私とお茶しませんこと?
 私、お友達なんていなかったからこういうのは初めてなの!」

「だから……貴女と友達になる気はないと言っているでしょう! 離しなさいよ!」

「嫌ですわ!」

「まず私の話を、お聞きなさい!」

「だって帰ってしまわれるんでしょう!? ちょっとでいいから! ね!?」

「ユアン! 私を助けなさい!」

「ユアン! エレアノーラ様に従ってはダメよ!?」

「申し訳ありません。エレアノーラ様、私は……」

「役立たず!」

 グイグイ引っ張られる腕が痛い。ユアンに叫び散らすも、眉一つ動かさない彼が憎く思えた。