「私達に宝石を愛でる余裕が無くとも、他国の民にはあるの。〝戯れ〟の時間がね。
 それを餌に再び協定を結んで国を再建する。あちら側だって〝特別〟なのを提示すれば、喜んで受け入れてくださる筈よ」

「お前の言う〝特別〟なんてアテにならないな」

「お戯れを」

「戯れ……か」

 疑問が解けてスッキリしたのだろう。食事に精を出した彼に倣うように私も朝食を口に運んだ。

 恐らく、この国の王族も隣国に早馬を出す。けれど、そんなことはさせない。〝もしも〟の綱は切り取っておくべきだ。
 フィンに薙ぎ倒させ、助けなど呼ばせない。

 そして罪を刻み込むのだ。

 私には出来なかった償いを共にしようではないか。王の名の下に集った愚かな血族よ。