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「お前は何故、宝石に目を付けたんだ」

「藪から棒にどうなさったの? というか、知ってらしたのね? 私が何故ガストン様を選んだか」

「分からないという方が無粋だ。むしろ分かりやすかった」

「フィンは分からなかったわ」

「レジスタンスの連中には分からないだろうな。勿論、俺が協力しなかった理由も」

「未来が見えないからでしょう? だから私は貴方が此方側に落ちてくるように仕掛けた。結果、貴方は気付いてくれたわ。私のサインにね」

「悪くなかったよ。でも、どうして、それに気付いた? きっかけは無かったのか?」

「お腹が空いたって物乞いしてくる子供がいたのよ。ヴィンスなら何をあげる?」

「お腹が空いたって言ってたなら食い物かな」

「言ってなかったら?」

「物乞いなんて金か食い物だろ」

「そう……そうよね。でも私は花をあげたの?」

 花? と素っ頓狂な声を出すヴィンスは、食事中にも関わらずテーブルに肘を附いている。それを咎めれば先を急かされた。