「な!? なにを!?」

「油断をしちゃいけないって警告だよ。男は、みーんな狼って聞いたことない?」

「ヴィンスは違うでしょう」

「白くて甘い肌を味わってみたいと常々思ってるよ」

「はぁ……貴方は本当に人を揶揄うのが好きね。ユアンを呼ぶわ」

「着替えならメイドに頼め。悉く忠告を無視するなんて、とんだ令嬢だよ」

「なんなのよ。機嫌が悪いのか知らないけど……私に当たらないでくださる?」

 呆れたように両手を花開かせる彼に眉を寄せる。文句を言ってやろうと大口を開ければノックの音に阻まれた。

「エレアノーラ様。メイドを連れて参りました。どうぞ、お召し替えを」

「ええ。おはようユアン。フィンはまだ?」

「はい」

 帰ってきてないかしら? と言外に伝えると肯定を示される。僅かに肩を落としていれば、ヴィンスが退室していった。