「落ちるだなんて不吉なこと仰らないでくださる? 私は恋なんてしてる余裕はないのよ」

「そう。そうなんだ……なら良かった」

「心配しなくても貴方達を裏切ったりしないわ。シュプギーの正体も私が暴いてみせるんだから」

「頼もしいな。金髪の姫君は」

「私は令嬢よ。悪しき令嬢って結構気に入ってるの」

「傾国の美女じゃなくて。傾国の悪女になりそう」

「まぁ、美女なんて大抵が悪女って決まってるのよ。そろそろ離して? お腹が空いてしまったわ」

「はいはい」

 私の身体を解放し、流れるように手の甲に口付ける彼。ほんの少し瞠目していれば、そのまま指を舐め上げられた。