「朝から、そんなことを言うなんて下品だわ」

「レイニーは相変わらずつれないな」

「これが私よ」

「ああ、そんなお前だから好いている」

「随分、歯の浮いた台詞だこと」

 私達が、お互いを愛称で呼び合うのにそう時間は掛からなかった。今では〝仲のいいお友達〟といった関係だ。

 同じベッドで眠りにつくし、社交界では恋人同然だけれども、彼は私に手を出してこない。

 私に魅力がないのか。仕事だと割り切っているのか。理由は定かではないが、そんな彼のお陰で、私は城に潜り込めたし、酒場での出来事を事細かに話してくれることに関しては感謝していた。

 ベルナールは未だ私を信用していないようで、時折、射るような殺気送ってくる。

 あの眼差しは苦手だ。死した瞬間を思い出してしまうから。