「まったく。お前は本当に警戒心というものがないな」

 溜息を零し、彼はベッドに寝転んだまま頬杖を付く。寝乱れた白いシャツからは逞しい胸板が覗いていた。

 ネグリジェを翻した私はベッドから降り立つと挑発的に笑んでみせる。彼はそれに眉をピクリとも動かさなかった。

「あら、ヴィンスは私に手を出したいの?」

「美しい御令嬢をモノに出来るならしたいものだと思っているよ」

 余裕そうな笑みを浮かべたヴィンスが大きな欠伸をかます。警戒心がないと宣うくせに、緊張の欠片もない彼に嘆息が零れた。