「コレは昨晩届いた。ホヤホヤの代物です。いつもはエレアノーラ嬢に届けておしまいですが、今回は彼女の手に渡さず俺達で謎を解明したいと思いまーす!」

 アーミーナイフを用いたベルナールが封を切る。中から紙切れを取り出した彼は封筒の中も隈なく見ていた。

「特に仕掛けはない、か。秘密裏に何かの受け渡しをしてる様子もないないなぁ」

「おい! コレは!」

「責任は俺が取る。エレアノーラ嬢には〝ベルナールが勝手にやったんだ〟って言っといて」

「だけど……」

「この程度で協力関係を破綻させるなら結局それまでだったってことだよ。
 彼女が俺達を選んだんじゃない。俺達が彼女を見定めるんだ。どちらが上なのか、それはハッキリさせなくちゃ」

「でもそれでレイニー様が協力関係を放棄したらどうするんだ?」

「んー、やばいね。資金提供は受けれなくなるしヴィンスも危ういかなぁ」

「ヴィンセント様が?」

「うん。恋してるみたいだったからね」

 恋、とはなんのことだ。口を開け呆けていれば、ベルナールが〝しまった〟とでも言うように苦笑した。