*

「レイニー様?」

「フィン……」

 暫く呆然と俯いていると、フィンの声が聞こえた。

 闇に目を凝らしているのだろう。階段を折り切った彼は私の姿を見つけるなり、そそくさと駆け寄ってきた。

「どうなさったんですか?」

「ヒールが折れただけよ」

「そうですか」

 彼は頷き、私を軽々抱き上げる。階段を上がれば、目に痛いシャンデリアが煌々と輝いていた。