私はみんながザワザワと悪口を言うのを適当に聞き流し、ずっと一人で爪を噛んでいる入澤のところへ行った。

「入澤!」

「なぁに?」


……何も知らないよ、なんて顔をして、ますます私の腹のなかが煮えくりたつ。


「お前さ……、私が休んでたの、ズル休みだってみんなに言いふらしてたんでしょう⁉︎」

「ぇ……? 知らない、けど?」

私の怒りは最高潮。

周りの子たちが、次々と私と入澤の間に割り込み、入澤を非難する。

「私、入澤が言うこと聞いてたから!」
「最低! この嘘つきぼっちやろう!」
「ほんとクズだよね! 真凛かわいそう!」






……私は本当に本当に泣きたい程、胸の中が苦しくなった。でも、人前で泣くのは恥ずかしいから、必死に唇を噛んで涙をこらえた。鉄の味が口の中に広がる。


私はこの二週間、耐えた、お父さんが死んだ苦しみに。

本当に本当に悲しかったの、苦しかったの、私もお父さんの後を追おうかと思ったくらいに。

……なのに、こいつ……!

絶対に許さないから!