撤収していく兵を王城から見送りながら、蓮雅は傍らに立つ青年に瞳を向ける。

竜己。

視線に気づいた彼は、いつもり穏やかな微笑を浮かべた。

「これで、約束が果たされました」

満足の笑みをこぼした。

「本当に、竜己か?」

蓮雅が安堵の中に微かな疑問を含んだ表情で問いかける。

王が何懸念しているのか、確信はある。

龍神がその力を持って、竜己の身体を奪ったのではないのかという不安。

「えぇ…そして…」

それを肯定するように笑みを浮かべ、王の瞳を真っ直ぐ見つめて、宣言する。

「…龍貴でもあります、ね」

「どういうことだ?」