では、そこから飛んでみろ」

簡単に敵将は言葉を口にする。

皆が集まり注目している壇上の端。

滝壺を覗き込める位置。

迷わず、確かな足取りで進む。

目前から消えようとしている彼の姿を、瞳はしっかりと追いかけている。


別れがあるからこそ、通じ合えた想いであることは判っている。

それでも。

端に立った竜己は祈るように瞳を閉じる。


そして、振り向き瞳を開けると微笑を浮かべた。


目が合ったのは一瞬。


そのまま、

躊躇いもなくゆっくりと、

滝の中へ身を躍らせた。