忙しい父王に代わり、幼い頃から何かと構ってくれた兄のような存在であり、

普通の人には見えない龍神の存在を感じられる数少ない理解者でもあった。

姿を見つけるとすぐに優しい青い瞳を向けて笑ってくれた。

見守ってくれていると安心できた。


弟が生まれ、神官としての立場となって忙しくなった竜己と

すれ違いが多くなり寂しい思いもしたが、

彼の側にいられる理由を…と、

王家の者として生まれ、

見える眼という備わった能力を活かして神殿の巫女としての立場を手に入れた。


ずっと側にいることができると信じていたのに。

飛び込んだ腕の中で、憧れだけではない強い想いを自覚していた。


だからこそ。

貴方だけを犠牲にはしない。