陽は高く昇り、真上に届く頃、

城には続々と大勢の隣国の兵士が集まってきた。

城下を見下ろす広いテラスには王や重臣、

そして兵を連れて入城した敵将の姿があった。


「この国には龍神がいるそうだな」

さも楽しげに敵将は言う。

「守護神である龍神を見せてくれないのか」

ただ人には見えない神。

他国で育ち、神の存在など信じていないと言外で現し、

立ち並ぶ王族の表情を見下した目で眺める。


神に選ばれた特別な一族なのだと、

選民意識を持って、何の疑いもなく権力を手にし

支配者として君臨している。


そんな隣国の王家の古くからの体制に嫌気が差して兵を挙げた領主にとって、

龍神に守護された国と言われているこの国も忌むべきもの。

目に見えない存在は迷信だった。

「守る者が危機になれば、姿を現してくれるかな」

残忍な眼で笑った。

国を手に入れるには、今までの支配者の信用を崩さなければならない。

彼らはその方法に龍神の存在を用いた。