「竜己様が身を投げるなら、私も後を追います」

「・・・姫・・・」

「私は貴方以外のモノにはなりません」

きっぱりと言い切る言葉には決意が感じられる。

戦いに負け、支配権を明け渡した王やその一族が

どんな末路をたどるのか…想像するのはたやすい。

まして王の娘ともなれば、良くて愛妾。

悪ければ散々弄ばれたあげくの処刑が目に見えている。

彼女も判っているからこそ。


「・・・今夜は、そばに・・・」

私が護りたいものを…彼女を護ってくれる…

龍貴とした約束を信じられない訳ではないけれど、

このまま腕の中にいる彼女を返してしまうことはできなかった。


最後の夜。

別れ際の龍貴の言葉が胸に蘇る。


「鳳珠…姫・・・」

潤んだ瞳で見上げた顔に。

ゆっくりと唇を重ねた。