その3文字を理解するのに時間がかかった
「なんか言えよ…」
またハルトの声がして我に戻った
「…私?」
「そぉ、お前!ただそれだけ、帰るぞ!」
ハルトは立ち上がって草をはらった
私が見上げると手を差し伸べてきた
私はその手につかまって立ち上がった
ハルトは私の手を掴んだまま歩き出した
ハルトは私より前を歩いたけど
来る時よりもゆっくり
私の歩調に合わせてくれたのがわかった
無言だったけど
手から優しさが伝わってきた
言葉がなくても嫌じゃなかった
階段から降りる時
ハルトが振り返って私を見た
「足、大丈夫?」
「うん、ありがとう」



