…
静かになった
ドーン…
花火の音が聞こえて花火を見に来ていることを
思い出した
ドーンドーンドーンドーンドーン…
花火がいっぱいあがって
胸に響いて苦しくなった
また溢れ出すものを抑えようと
必死にこらえた
私はハルトから顔を背けた
ドーン…
最後の花火がなって
ハルトの声が聞こえた
「オレ、他に好きなヤツいたから
告られたけど断ったんだ」
私が泣きそうなのを悟ったのか
ハルトはまた自分の話に戻した
「ダレ?って聞かないの?」
私は、声を出すと涙声になるのがわかったから
黙っていた
「じゃ、聞かれなくても言う」
ハルトが言った
花火が終わって
耳鳴りと一緒に川の流れる音
風で草が揺れる音、カエルと虫の鳴く声
夏の音が暗闇の中、聞こえてきた
ハルトの深呼吸が聞こえた
それから
「お前‥」
ハルトの声が聞こえた



