外はまだ薄明るかった
「ホントにいいの?」
私はハルトの後ろから話かけた
ハルトは振り向かないで答えた
「お前がいいなら、いいって言ったろ」
私は黙ってハルトの後ろを歩いた
日に焼けた腕も広くなった肩幅も
少し伸びた髪もヒロ兄にそっくりだった
そのうえヒロ兄がよく着ていたTシャツを着ていた
私は、ヒロ兄と歩いている気分になった
浴衣だから小股で追いつこうと
下駄で小走りになった
土手に上がる階段まで行って
ハルトがやっと振り向いた
私は急いで追いついた
「ごめん、お前、下駄だもんね」
ハルトが私の足元を見た
「足、赤くなってる‥言えよ、ちゃんと」
「あ、ホントだ、私も気づかなかった」
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
私はハンカチで額の汗をふきながら言った



