花火大会の当日、部活から帰ってきて
張り切って髪をあげてると
コンコン…
ベランダのガラスを叩く音がした
髪を抑えながら振り向くとハルトだった
前にベランダのパネルをハルトが壊して
そこからお互いの部屋に行き来していた
外の暑い空気とハルトが入ってきた
「なにやってんの?」
ハルトが私を見て言った
「アップにしてんの‥
今日友達と浴衣で花火行くんだ」
「へー」
「ハルトは?行くの?」
「あーたぶん行く」
「ねぇ、髪に着けるのどっちがいい?」
ハルトに髪飾りを見せた
「んー、右」
ハルトの選んだ方を着けて見せた
「あー、やっぱ左」
「適当?!」
私は怒りながら違う方を着けて見せた
「あー、それそれ」
「もぉ!」
ハルトをまじまじ見たら日に焼けて真っ黒だった
「黒い!」
「白い!」
ハルトが返してきたので、ふたりで笑った
「髪、伸びたね、ハルト」
ヒロ兄みたい…
ハルトは無言で髪を鬱陶しそうに手でかいた
「あ、私、浴衣着せてもらうから、また後で!」
私が慌てると、ハルトはまたベランダから
自分の部屋に帰って行った



