ふと、蓮が窓の外を見ると、雨がホームルームをした時よりも強くなっていた。

雨が強まる中、傘をさして帰る生徒の姿を見つける。一人ではない。一つの傘に二人が入っているようだ。

その一人が振り向き、蓮と目が合う。その瞬間、蓮の体に寒気が走った。

翔が蓮を睨みつけていた。氷のように冷たい目でーーー。

傘に入っているもう一人が誰か知った時、蓮の胸がドクンと痛んだ。

一緒にいるのは、美桜だ。恥ずかしそうに、でも楽しそうに翔と話している。

「蓮!テスト中だぞ」

先生が注意をし、「すみません……」と小さな声で蓮は謝った。

ズキン、ズキンと痛みはひどくなっていく。幸せが一気に崩れていく。

それから、テストに集中できなかったはずなのに、蓮は今までで最高の点を取った。