「……行ってくる」

「行ってらっしゃい」

蓮は両手でこぶしを作って並べ、二回下げた。『がんばれ』だ。

手話を覚えてくれたことに、美桜はとても嬉しくなった。『ありがとう』と笑顔で言う。

その光景を見ている人物が二人いた。

椿がショックを受けたような表情で二人を見つめ、少し遠くから翔が蓮を睨んでいた。



「お疲れさま!」

「すっごくよかったよ〜」

ダンスを終えたあと、美桜たちのもとに蓮たちがやって来た。

「ありがとう!」

美桜たちは同時に言った。

「お疲れさま」

蓮は美桜の目の前で、右手のこぶしで左手の手首の甲側を叩いた。『お疲れさま』だ。

「ありがとう!ありがとう!」

美桜は何度も『ありがとう』を手話で言う。

蓮に、一生懸命練習したダンスを見てもらえた。手話を使ってくれた。それがとても嬉しすぎて、胸が破裂しそうだ。