伝えたいことはきっともっとあって
だけどいつもうまく言えなくて
後悔だけが残る日々
始まりは涙で歳を重ねるごとに
優しさも幸せもわかってく
いつも隠してきたけど
今日くらいは全力で伝えたい


曲が進んでいくごとに、美桜の目の前がぼやけていく。

胸の高鳴りは止まることがない。ああ、この気持ちはきっとーーー。


大切なこと、かけがえのないこと
教えてくれた君に
世界でたった一人しかいない
大切な君に
今、伝えるよ
ありがとうを


美桜の手が勝手に動いていた。忘れようと必死になっていたこと。捨ててしまった自分の好きなことーーー。

右手の親指と人差し指を伸ばしてのどにあてて、指を閉じて下げる。『好き』という手話。

私は、蓮くんが好きなんだ。美桜は何度も心の中で呟いた。