「大丈夫?空」

美桜の隣で椿が言った。

「え?知り合い?」

小さな声で呟いた美桜に蓮が言った。

「友達なんだ。坂本空っていうんだ」

「初めまして!よろしく!」

空が明るい笑顔で言った。

その笑顔に美桜は疑問を感じた。どうして笑っていられるの?あんな目で睨みつけられたのに、どうして?

忘れていた恐怖が、また心を支配する。手足が震え、今にも涙がこぼれそうだ。

その時、そっと手に温もりを感じた。蓮が手を握っていた。

「大丈夫?歩ける?」

そう言う蓮の顔は赤くて、また美桜の胸が優しく高鳴っていく。

美桜は無言で頷いた。