「こら!あんたも自己紹介しなさい!」

椿が男の子の背中を叩く。

「えっと…加藤蓮です。よろしく!」

蓮が手を出してきて、美桜はドキッとした。昨日の蓮の体温を思い出してしまう。

美桜も手を出し握手をしようとしたその時、後ろから「ヒュー!ヒュー!」と冷やかす声が聞こえた。

「蓮さ〜ん!こんなところで浮気はダメっすよ〜」

男子数人がニヤニヤしながら蓮と美桜を見つめる。

「ちっちが…。そんなんじゃ…」

蓮は必死に言おうとするが、言葉は相手に届いていない。

「浮気って?」

ドクン、と嫌な音がした。

椿が顔を赤くしながら言う。

「私と蓮は幼なじみで、付き合ってるんだ」

目の前にいる椿の顔を見て、美桜の胸はなぜか苦しくなる。

そこにいたのは、『恋する女の子の顔』だった。