「お、おはよう!」

美桜も慌てて言う。挨拶を言いながら、自分の顔も真っ赤かもと美桜は思った。

「もう蓮(れん)!挨拶はしっかりしなきゃダメじゃん!」

隣の女の子がバシンと男の子の肩を叩く。

「痛いよ、椿(つばき)ちゃん」

「えっと……」

何も言えない美桜に、女の子が笑顔で話しかける。

「おはよう!私は白井椿!よろしくね」

「私は木下美桜です。えっと…よろしくお願いします」

緊張しながら言った美桜を見て、椿はクスクス笑った。

「同級生なんだし、敬語なんて使わなくていいよ〜」

椿の明るい顔に美桜の緊張もほぐれていく。

「みおうちゃん……」

男の子が小さく呟き、思わず「なっ、何?」と上ずった声をあげた。

男の子は美桜が見つめると真っ赤な顔をさらに真っ赤にしながら、「な、何でもない!呼んでみただけ」と言った。