four seasons〜僕らの日々〜

しかし、忘れられないあの顔はどこにもいない。

道を歩くみんなは楽しそうに笑っている。

その様子をぼんやり見ていた美桜の視界に、まだ花を少しだけ咲かせている桜の木が映った。

今年は桜が咲くのは早かった。花を咲かせているのは、この木だけのようだ。

まだ咲いているんだ、と桜を見ながら歩いていた美桜は、前を歩く誰かとぶつかってしまった。完全に美桜の前方不注意だ。

「ご、ごめんなさい!」

美桜が慌てて謝ると、ぶつかった相手が振り返った。

「あっ……」

相手と同時に声が出る。

ぶつかった相手は、昨日の男の子だった。隣にはショートパンツを履いていた女の子もいる。

「おは……よう……」

男の子が顔を真っ赤にしながら、言った。