four seasons〜僕らの日々〜

その真面目な表情にドキドキしながら、美桜は別れた場所のことを思い出そうと記憶をたどる。

「えっと……確か、近くに『B』という名前の服屋さんがあって、その隣にはカフェがあったと思います」

美桜がそう言うと、男の子は少し考えたあと「場所、わかりました。一緒に行きましょうか」と言い歩き出した。

「えっ!?ちょっ、ちょっと待って……」

美桜が戸惑いながらそう言うと、男の子は立ち止まり美桜の手をそっとつないだ。

「またはぐれないように手をつないでもいいですか?」

優しく笑う男の子に、美桜の鼓動は激しくなる。つないだ手の温もりが温かい。さっきまでの不安は、この男の子に話しかけられた瞬間にもう消えていた。

人混みをかき分け、男の子は進んでいく。手をつないでいる美桜の足も自然と動く。

このままずっと歩いていたい。そう美桜は本気で思ってしまった。

「この辺りは、休みの日はこんな感じなんですよ。迷子になる人が多いことで有名なんです」

「そうなんですか。知りませんでした」